高齢者向けの住まい・施設とサービスの費用(2)

高齢者向け住宅と介護保険サービス等の組み合わせの概要

高齢者向けの住まいと、介護保険サービス等の組み合わせのパターンは複数あり、住まいと介護サービスが一体なもの(代表的なものは特別養護老人ホーム)と、住まいは住まいとして契約し、どの介護や生活支援サービスを利用するかを選択できるもの(住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅)などがある。住まいとサービスの組み合わせから見ると、認知症の方が入居されるグループホームは一体の方に属し、有料老人ホームやサービス付き住宅は、組み合わせるサービスによって、一体のものとそうでないものに分かれる。

高齢者向けの住まいと支援サービス等の組み合わせイメージ

高齢者向けの住まいと支援サービス等の組み合わせイメージ

 

住まいと介護サービス等が一体のもの

住まいと介護保険サービス等が一体のもの(特別養護老人ホーム、グループホーム、介護付き有料老人ホーム、介護付きサービス付き高齢者向け住宅など)は、基本的には、介護を必要とする方がそこで生活するために通常必要とされるサービスは、介護保険サービスに含まれる。中には、介護保険サービスで賄われない部分を補うサービスを提供できるもの(介護付き有料老人ホームが代表的)があり、その部分の費用は別途必要になるものの、入所者の希望によって、身の回り品として日常生活に必要なものを施設が提供する場合や嗜好品など、別途費用をいただくことができるものには制限がある。

住まいとは別に、入居者が介護サービス等を選択し、契約する前提のもの

住まいとは別に、その入居者が介護サービス等を選択し、契約することを前提としたものには、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などがあり、その建物自体に何らかの入居者の生活を支援するサービス、「緊急コール対応」や「健康相談」、「食事提供」などを備えている。(これらの費用は、管理費や生活支援サービス費、食事代等として徴収される)

そして、介護が必要になった場合には、住み替えが必要なところもあるが、訪問介護などの介護保険サービスを別途契約し、介護を受けるという仕組みのところが多い。

 

事業者による具体的で分かりやすい説明が不可欠

このように、住まいと介護サービス等の組み合わせには複数あり、そこで提供されるサービスは、管理費や生活支援サービス費の支払いに含まれているサービスなのか、それともそれらには含まれず、別途実費が必要なのか、さらに、介護保険サービスとして提供されるのかなど様々であるため、これらの費用がとても分かりにくいものになってしまっている。住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、「管理費」や「生活支援サービス費」で徴収されることが多い「緊急コール対応サービス」は、特別養護老人ホームやグループホーム、介護付き有料老人ホームでは、「介護保険サービス費」に含まれているといった具合だ。

また、実際に入居者が負担する金額を考えたとき、建物に付属するサービスとして費用を負担する場合は、その全額(10割)負担となり、介護保険サービスでの提供が可能で、そちらで提供される場合には、その費用の1割(一定以上の所得がある方は2割等)を負担することになる。サービスの費用を全額負担するのと、その1割や2割などを負担するのでは、支払う金額の差はかなり大きなものだ。
行政は、公平性を確保するため、先ず建物側のサービスで何ができるかを明確にした上で、別途契約の介護保険サービスにおいてどのような支援が必要かを検討するなど、重複を避けるように指導しているようで、これがしっかりとなされれば、あいまいさはずいぶん回避できるのだろうが、全体として分かりにくいことに変わりはない上、どの程度明確化し説明するかは事業者次第みたいなところもあるだろう。

規制緩和等も踏まえた自由契約の流れの中で、利用者がよりよいサービスを受けやすくなることに寄与すればよいが、それにしても分かりにくい。事業者からの説明が如何に分かりやすく正確かということは、とても重要になると思われる。

 

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