高齢者向けの住まい・施設とサービスの費用(1)

確実に増えている高齢者向けの住まい

 

超高齢社会を背景に、高齢者向けの住宅・施設の整備がすすめられている。下のグラフは、2000年から2014年までの、介護保険施設、高齢者向け住まいの数の推移である。特別養護老人ホームや介護老人保健施設、グループホームも確実に増えてきたが、特に「有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」で、その数の増加が顕著だ。

高齢者向け住まいの数の推移

高齢者向け住まいの数の推移

高齢者向けの住まいの整備が進み、選択肢が多くなるのはもちろん良いことだが、その分、選ぶのも大変になっていると思う。高齢者が安心して住める場所を選ぶにあたっては、公共交通機関に関わる利便性や、家族等が通いやすいなどの立地、建物そのものの仕様やサービスの状況、価格など、気になるところは様々だと思うし、どれも重要になるだろう。今回は、その中でも分かりにくいことの一つである価格に関することを書きたい。高齢者向けの住宅の価格の高低が、その内容をよく踏まえられないままに比較されるように感じていることも、価格について書く理由の一つなので、参考になれば幸いである。

 

費用の構成とその内容

 

高齢者向けの住まいの費用構成イメージ

高齢者向けの住まいの費用構成イメージ

上記が、高齢者向けの施設や住宅で、よく使われる費用の名称だ。もし、読んでいただいている方が高齢者向けの住まいを探しておられたり、また自らその事業をしようと検討されていて、ここに挙げた費用の名称と違うものがあれば、その費用はこの中のどれに当たるものかを確認いただくといいと思う。

「家賃」や「共益費」、「水道光熱費」は、それが他の費用に含まれるかどうかということくらいで、一般の集合住宅と大きな違いはない。なので、立地や部屋・共用部の仕様などと価格が見合うか、他の施設・住宅と比べてどうかということになるだろう。
個別サービス費は、基本的に、個々の入居者等が事業者に依頼し、対価を払って受けるサービスに関するものなので、受けられるサービスの種類とその価格に納得ができるかどうかということが重要になるが、こちらも比較的分かりやすい部分だと思う。

一方、「管理費・生活支援サービス費」と「介護保険サービス費」、この部分が、高齢者向けの住宅・施設の費用で最も分かりにくいではないかと、私自身は思っている。「介護保険サービス費」は、介護保険法で定められる基準に沿って行われるサービスへの対価であるため、明確ではないかと思われそうだが、住宅と組み合わされる介護保険サービスが複数ある上、「管理費・生活支援サービス費」に含まれるサービスか「介護保険サービス費」によってまかなわれるサービスかということも様々であるため、これらの組み合わせが複雑なのである。

長くなるので、続きは次回へ。

次回:「高齢者向けの住まい・施設とサービスの関係2

 

2017/2/18 高齢者向け住まいの数の推移のグラフを挿入し、高齢者向け住宅、施設の費用の構成イメージ図を食事サービスが入ったものに修正しました。

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