リーダーシップ ー評価で重要なことー

チームづくりに先立って、リーダーとして行う評価のイメージを

リーダーとしての人材育成に注目

多くの企業で新たな事業年度が始まるこの時期は、人事異動もあり、リーダーとしてチームをどのように機能させていくか、改めて考えることも多いのではないでしょうか。

期首から評価について取り上げるのは時期尚早と思われる方もおられるかもしれませんが、チームづくりを始める時、評価期間の始期だからこそ、評価のことをイメージしておくことが大切です。

制度としての人事考課では、評価期間が始まる前に評価基準を明確にすることが前提で、これは評価の公正さや期間中の評価項目への関与の度合いに関わるため、少なくとも前期末までには次期の評価項目について周知されているでしょう。目標管理制度を導入している場合でも、個々のメンバーの目標設定にリーダーが関わり、それを決めた上で目標達成のための行動に移っていくと思います。

人事考課のように、制度として明確に設定されているかどうかに関わらず、日常的にリーダーがどのように自分を評価しようとしているのかということは、メンバーのモティベーションを左右する重要な要素です。


新しい年度に完全にメンバーが入れ替わるということは少なくても、メンバーの出入りによってチームの雰囲気が変わることは少なくありませんし、目標や計画の変更による役割やプロセスの変更も、チームに少なからず影響を与えます。
年度初めは、リーダーにとって、メンバーとの信頼関係を構築するための重要な時期であり、部下にとってはリーダーがどのようにチームづくりをし、また自分を評価しようとしているのかを認識する時期でもあります。

リーダーがメンバーを評価するというのはとても難しい仕事の一つだと思います。信頼関係を構築し、高いパフォーマンスを発揮するチームづくりを行っていこうとしているのに、時には評価がリーダーへの不満やメンバー同士の対立を生むきっかけになってしまうことさえあります。
先ずは様子見というスタンスでスタートしても、リーダーとしてはいつまでも様子見をしているわけにはいきません。高いパフォーマンスを発揮するメンバーは、自身のパフォーマンスが妥当な評価を得られなければ不満に感じるでしょうし、なかなか仕事ができるようにならないメンバーには、効果的な助言や指導をして、育成していくことが求められます。

このように、リーダーとメンバーという関係の中では、どうしても評価が付いて回ります。
リーダーとしては、年度がスタートしたこの時期に、できるだけ公正にメンバーを評価しようとしているということを理解してもらい、信頼関係の基礎を築きたいものです。

プロセスをきちんと見る -メンバーへの視点-

難しい評価を少しでも公正なものにし、チームのパフォーマンスを高めるために、何ができるでしょうか。

評価を活かすため、また効果的なコミュニケーションの機会を創出するために、リーダーはメンバーが仕事としてきちんとやるべきことをやっているか(プロセス)、そのうえで結果を伴っているか(成果)を見るようにするとよいと思います。特にプロセスについては、成果を上げるために必要な行動をしっかりと行っているかを見ることを常に意識するようにします。

人間関係やメンバーとの相性などが気になりはじめると、リーダーが各メンバーに関与する時間数が偏っていき、評価云々の前にそのための情報量に差が出てきます。そうすると、メンバーへの評価も自ずと偏りやすくなり、信頼関係の基盤が揺らぐ可能性があります。リーダーが、仕事上のやるべきことをきちんとやっているかという事実をしっかりと見るようにすることで、感情に左右されない評価やコミュニケーションを行いやすくなります。

また、やるべきことを行っているかというプロセスに注目すると、パフォーマンスに影響を与えた要因を推測できたり、他のメンバーの影響などもわかりやすくなります。そうすると、単に結果のみに基づくよりもずっと幅広く、深いコミュニケーションを得られる可能性が高まります。特定のメンバーの成果に貢献した影の立役者のような存在も発見できるかもしれません。
メンバーにとっても、チームの目標であるパフォーマンスに影響を与える行動やその良否をきちんと見てくれて、感情に左右されにくいリーダーは、より信頼できるのではないでしょうか。

さらに、そのような評価やコミュニケーションのもとでは、パフォーマンスが高いメンバーは、パフォーマンスを高めるためのプロセスも含めて評価され、そうでないメンバーにとっても何を直せばよいのかが理解しやすくなると考えられます。
そして、これらが積み重なることで、チーム全体のパフォーマンスの向上が期待できます。

プロセスを評価しやすい職種とそうでない職種、結果が評価しやすい職種やそうでない職種があるなど、職種よる特性も影響すると考えられますが、例え結果が評価しやすい職種でも、プロセスを完全に無視して評価することは困難だと思います。もちろん、長期間にわたってよい結果を出し続けているというメンバーは、それなりに妥当なプロセスをたどっている可能性が高いとも考えられますが、結果を生むプロセスには様々な要素が関係します。実際、営業のように数字が求められる職種では、評価のウエイトの多くが結果の数字に置かれるものの、リーダーとしては数字だけを見て評価すればよいと割り切ることができない場合も多くあるでしょう。


新事業年度が始まったばかりだという企業も多いこの時期は、多くのリーダーにとってチームを再構築していく段階でもあると思います。チームの目標を達成するためにメンバーがやるべきことをきちんとやっているか、そして、成果が出ているかというように、プロセスをきちんと確認したうえで成果を見るということを評価の軸に据えていることをメンバーが認識してくれるようにすることが、よいチームづくりにつながっていきます。そしてこれは、コミュニケーションの円滑化やチームのパフォーマンスの向上、期末等に行われる制度上の人事考課の有効性を高めるためにも、とても重要なことだと考えられます。


リモートワーク等でメンバーの仕事のプロセスを確認することが難しい場合も多いと思います。このような場合、プロセスをもっと明確化し、整理できないかをご検討ください。以下、参考記事です。

プロセスの評価が難しい

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