要員間の調整役
部門長は調整役
比較的規模の小さな組織で足の引っ張り合いのようなことが起こると、影響が波及しやすく、経営への影響は決して小さくありません。 ただでさえ一人で何役かをこなすことが多い中小企業では、組織のどこかでこういうことが起こってしまうと、コミュニケーションがギスギスし始めて、たちまち事業に影響してしまう、、早く何とかしないといけません。
でも、そこで解決に動かない(動けない)組織も結構あって、誰かが何とかしてくれないだろうか、と、そんな雰囲気が漂っていることもあります。
あるチームで要員間のコミュニケーションがおかしくなったら、それはそのチームのリーダーがすぐに動かないといけません。チームのリーダーが動きが取れないなら、その上が動く必要があります。 もちろん、チーム間のトラブルなら、それはチームの束である部門の長が解決に動きます。その部門の長がダメなら、その上役。最終的に、社長が仲裁に入らないといけないことも少なくないかもしれません。
それでも、組織体制が明確なら、原則として誰が動く必要があるかを認識すること自体はそれほど難しくないでしょう。
組織の目的をふまえた調整ができるという要件
放っておくと、やがて非公式なグループが出来上がり、統制に影響を与えるようになっていきます。公式な組織のリーダーが動かないと、スタッフは公式組織をあてにできないと感じるでしょうから、その権威は失墜し、非公式な組織の台頭を許すことになるのは自然な流れです。非公式組織のすべてが悪いわけではなく、有効な場合もあるだろうが、それは公式組織の尊重があって成り立ちます。
自社の方針や業務の目的に照らして要員間、チーム間、部門間の調整機能を果たせる人材。いったんトラブルを抱えると、足を運んでスタッフと会い、ひざを突き合せることに躊躇するようであれば、十分な調整は困難かもしれません。こういったことを担える者を見定め、それなりのポストにつけていないと、それこそ社長が調整に出ずっぱりになります。選任した部門長が調整を図れないと、常に次の役職者が調整役を買って出ざるを得ないので、その部門長が統括するという機能は形骸化していくかも知れません。これが常態化すれば、せっかく立派な組織体制を描いても、実態はいわゆる文鎮型組織というありさまです。
どうしてもマンパワーに頼る度合いが高くならざるをえない中小企業では、要員間、組織間における利害関係の調整力は、リーダーに登用する際の外せない要件で、結果はどうあれ必ずそのようなモノサシをあててみる必要はあると思います。モノサシを当てることを繰り返すことで、その重要さの認識が浸透していきます。
社業の繁栄には、技術や仕組みも必要だが、コミュニケーションの停滞が起きては、それらは結局十分に活かされません。実際にこういった人材の確保に悩んでおられる社長も多いようですし、その確保は決して簡単ではありませんが、すくなくとも社長がスタッフの調整力を注意深く見ていられるように、またスタッフにも調整力の発揮が期待されていることが分かるように、リーダー等の要件として予め挙げておきたいものです。