経営理念より大事な経営者の理念

目にする機会が増えた経営理念

企業経営は理念が大事。
企業の社会的責任(CSR)の重要性が叫ばれ始めてから一層、理念を前面に出す企業紹介が増え、ウェブサイトやパンフレットにも、それらが詳しく丁寧に書いてあるところが多くなったように思います。

経営理念が大切であることは、もちろんその通りでしょう。経営理念を外部に説明してイメージ云々ということももちろん必要ですが、何よりも、その企業の構造や商品、サービスに影響を与えるものとしての理念がとりわけ大事です。外部への理念の伝達も、企業の商品やサービス、またそれを扱う社員が醸し出すイメージとマッチして初めて、良質なものとして伝わるはずです。ということは、反対にこれがチグハグだとそれはとても怖いことだということになります。理念はパッとしないけど、商品や社員はすばらしい!ということならいいでしょうが。

ところで、このところ理念や社会的責任が取りざたされる一方で、どうも形式的に過ぎるのでは?とお感じになることはないでしょうか。

研修に行けば、「経営理念を重視すべし」と言われる、中小企業経営者の集まりでも、「理念は大事」という話が挙がる、そう、理念は企業にとってとても重要なもの。だから理念を大事にしています。
しかしこれだと、ともすれば形式的な理念の表明が最優先されてしまわないでしょうか。

いや、もちろん理念は長期の進路を表す極めて重要なものという認識は自分も持っているのですが、言葉や表現が最優先になっていないかということです。どこからどんな情報が伝達されるか分からない今日、企業側から積極的に、意図的に表現することが必要になってはいるでしょうが、だからこそ反対に、実態、そう、表現を裏打ちする考え方や行動がどのようかが問われるはずです。

自社が作っているもの、提供しているサービス、それによって社会に貢献する。そんなメッセージが溢れていますが、作っているもの、提供しているサービスが果たしてどのように社会に貢献できると考えているのか、いやむしろ貢献したいのか。商品やサービスを提供して社会に貢献するという構図だけなら、どの企業でも同じことです。
同じ機能を持っていても、その会社の商品はどのようなのだろう、同じサービスでも、何に注意が払われているのだろう、それによってどのような伝達が起こり、社会にどう影響することによって、貢献が成し遂げられるのだろう。こういった現実の自社の活動と社会とのつながりを飛び越えて、表現としての社会貢献を意識するあまり、実際に企業が提供していることと社会貢献が、筋道として結びつくに至っていないようなことはおこっていないでしょうか。

社長の理念の重要さ

社長自身が、先ずある意味では社会貢献云々にこだわらず、こんな風にしていきたい、それを率直に表現するのが一番自然です。それを言葉で考えてみると、社長自身の興味を深堀することもでき、内省にもつながります。ああ、結局オレはこういうことにしか興味がないんだなと思っても、それはそれでいいのでしょうか。先ずは、社長の興味を文章にしてみる。そして、それがどのように社会に伝わるだろうか、何か貢献につながるのだろうか、ということは経営を進めながら考えましょう。経営は、ただでさえ一人ではなく、他の誰かが関わり成り立っています。規模の大小に関わらず、経営されているというだけで、それなりの社会的責任を背負い、影響力を持っているということです。ですから、それを続けるには社長自身がしっかりと前向きでいられるという事が必要ですし、経営を取り巻く様々な人や環境に実態として誠実であることのほうが、少なくとも形式的な理念よりはずっと大事なはずです。

ネットでは大した評判ではない、でも、社長と合って話し、さらに長くお付き合いをしてみると実に奥深い方なんです、会社も派手ではないがとても堅実な仕事される、そんな会社もたくさんあります。そう考えると、そのような会社が、一時の環境的影響に負けず、この先も続くようにしていくためにはどうすればよいかを考え、企業の継続を実現させるだけでも、立派な社会貢献の一つなのではないかと思うのです。

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