頑張らない社員対策に傾倒する組織たち
前回、「中途半端なルール設定が「気づく社員」をつぶす」の記事で、頑張らない社員対策は、頑張る社員にとってつらい状況を生む可能性があることを書いた。
このようなことは、細かく上げればきりがないが、次のようなものが考えられるだろう。
- 安易なルール設定:守るのか守らないのかあいまいになる
⇒ 守ろうとする社員の負担になるだけ。 - 「仕事は大事」と休日・休暇数が少ない:得てして仕事を大事にする人は、プライベートも上手に大事にしようとするもの。
⇒目的に照らし妥当な残業との認識なら、将来を見据えてやるかも、そうでなければ社員の環境を悪化させるだけ - 業務プロセスをころころ変える:社員は、決められたやり方に精通しようとしてOJTを受けるのであるし、日々そのプロセスにあたることで、パフォーマンスの差や傾向などを把握できるようになっていく。
⇒考える社員にとっては、ついていけないどころか、仕事の妥当性が確保できないことを感じ、呆れる。 - 大事なことを伝えようという名目で会議が上長からの一方的な話だけ、または形式的:日常業務は決して一方通行のコミュニケーション、形式的なコミュニケーションだけでは回っていない。
⇒前向きな社員にとっては日常業務の方がずっと高度で、会議なんてやる意味なしと感じる - 会議が長い:「業務は能率を考えて」と常々。
⇒あれ?仕事の基本である能率の概念はどこへ? - 製品やサービスの質への認識が低い?・・・:その程度のやり方でOK?
⇒より良い状態を目指す社員はやりがいを感じられない。それ以前にこのまま存続していけるのか・・・ - エビデンスなし:不要でもやれるの?
⇒同上 - 社会のルールにギリギリ?:そんな状態が怖いし、そうしなくても飯は食えるでしょ!
⇒離れる。そもそも、社会のルールをしっかりと認識している社員だからこそ、そうなる。
などなど
では、何もしないでいいのか! 良くしようと思ってやっているのに!!
頑張らない社員がいるのに、それを放っておくのは、頑張る社員に申し訳ないじゃないか!
自分がビシバシいかないと、会社の、事業の経営が心配だ!
おっしゃる通り。確かに様々な考えがあるだろう。
しかし対策は、頑張る人が満足し、より頑張れる施策を中心に考える、その方が組織全体はうまくいくと思う。頑張る人がどうすれば満足するか、やりやすいか、それを認識し対策することはとても大事だ。もしかすると、社長や上司が頑張らないと思っている社員が頑張らない原因さえ、そこにあるかもしれない。