ベストを追及しようとする風土

活かすのが難しい従業員の気づき 

 

従業員のモティベーションが重要といわれる。モティベーションにかかわる理論としてハーツバーグの2要因理論が有名だが、実際にモティベーションを向上させる策を展開するのは簡単ではない。

 

 
 2要因理論(動機づけ-衛星理論)

仕事のモティベーションに関わる要因と不満にかかわる要因とは別物で、仕事への評価や達成、成長を感じられるといったことはモティベーション要因、労働条件や給与(の低さ)、作業環境などは衛星要因とされ、この双方に適切にアプローチすることが重要とされる。 F.ハーズバーグ(1923-2000)

モティベーション要因には、仕事への評価や達成、成長の認識などが挙げられるが、これらを具体的に満たすような環境の一つに、「ベストを追及しようとする風土」が挙げられるだろう。従業員のやる気がくすぐられるには、その従業員の役割が確かにチームの中に存在し、自身の力が発揮できていることを感じることが大事だが、その従業員がチームや会社の真の発展に活かされると思えなければならない。しかし、会社の中にはこれを阻害する要因がいくらでもある。

 

その中の一つが、「こうすればもっと良くなるのに」という従業員の気づきを消してしまうことだ。(貢献できる基礎的な力量が身についていない段階の従業員のそれを同じように取り扱うことは難しいのだが)組織ではそれぞれ担当が割り当てられ、その中には習熟はもとより、一定の専門性が求められる仕事もあるだろう。会社は、その組織に貢献することを従業員に求めるが、貢献意欲を維持しようとする従業員は、当然、より多くの気づきを得る可能性がある。しかし、その気づきを実際に活かすことができるかというと、これはなかなか難しいのが実情だと思う。特に、組織の目的や目標への影響が大きい商品やサービスの提供に関わる過程においてこれが崩れれば、従業員のやる気をくすぐる組織になるのは困難だ。

「自分はチームに貢献したい、こうしたらもっと良くなるのではないか。」担当者が、自身の担当する業務に精通し、組織のパフォーマンスをよりベターに持っていこうとしてリーダーに伺いをたてる。これだけでも結構勇気が要るかもしれない。しかし、それがどれくらいベターな意見であるかを吟味し、チームに取り込み活かせるかという検討がされることがどれくらい行われているだろうか。

 

 

ベストを追及しようとする風土が判断の根拠を与える

 

ここで、「ベストを追及しようとする風土」かどうかが大きく影響する。ベストを追及する風土は、慣れや誰かの仕事のやりやすさなどが優先される状況を回避する。ベストを追及する組織は、そのためにより良いものを取り込む活動をより拒みにくいだろう。

ただ、ベストを追及することそのものにも困難はありそうだ。追及しようとしているベストは、同業他社との比較や、必要な専門性の観点から妥当ではないものでなければならない。ある組織のリーダーの独りよがりのベストであったり、法的側面や専門的な視点からタブーであったりするならば、それは会社に貢献しようとする従業員のベストとは相いれないだろう。また、実際にベストを追及する方向に取り組みが進められたとしても、そこに従業員をいかに関与させるかは難しい。従業員の意見を棄却しなければならないこともままある。

それでも、ベストは追及され続けなければならない。本当にベストを追及しようとして、それにそぐわないとして意見が棄却されたのなら、従業員の納得性も得やすいからだ。従業員は、意見が棄却されたことそのものよりも、「なぜ棄却されたのか」に関心を寄せている。意見を棄却することが問題になるのは、その理由が説明されていないことに起因することが多い。

 

いうまでもなく、ベストを追及しようとする風土を維持するのは、リーダーである。リーダーは、まず「ベストを追及したい」という方針を立てよう。そして、ベストが妥当なベストであるために、同業他社等の情報を集め、法令や専門性に関わる内容は、その担当者から根拠を伴った説明を受けよう。そのうえで、ベストのために良い意見が挙げられたときは喜び、採用できない意見は勇気をもって棄却しよう。ただし、ちゃんとその理由を付して。

そんな風に試行錯誤しているリーダーの姿って、結構いいですよ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です