気負って話しづらいリーダーになってしまう
リーダーの気負いが、コミュニケーションを硬直化させる
リーダーとして、チームをまとめなければ。
責任を感じれば感じるほど、どうしても結果を出そうと力が入ってしまいます。これは、組織にとっても、メンバーにとっても、むしろ心強いことです。
まずは成果を上げるために、自分が必要だと思うことをメンバーにやってもらう。それが定着してきたらメンバーからの意見を聞いて、より良くしていこう。このようなステップの構想は、チームが成熟していない段階では指示的なリードが成果につながりやすく、成熟度が上がってきたらメンバーを支援することで成果を拡大できる可能性が高まるというリーダーシップ発揮の基本的な考え方にも合っているのでしょう。
しかし、実際に実行するのは難しい。
指示をして、メンバーはそれを実践してくれる。あるものはうまくいくし、あるものは失敗する。うまくいくこともあればいかないことがあるのは、当然。リーダーはうまくいかないことを修正する指示を伝えながら、なんとか目標を達成したい。
目標に向かってプランを練り、メンバーに指示し、実行していけば、当然細かなところで、フォローが要ります。取り組みが成果につながるように微調整をしていくことは、プランを練る時以上に骨が折れることがあります。
調整に忙殺されながらもなんとかリーダーは仕事を回し、数字は少しずつ上がってきました。しかし頭打ちが。
様々な調整に時間を割かれることに加え、成果が上がらずに焦りが出始める。メンバーも当然そのような状況を感じ、緊張してくる。最初は目標に向けて前向きだったチームの雰囲気は少しずつ変わっていき、雰囲気の変化やメンバーの緊張で、特定のメンバーの人間関係に不穏な空気が。そして、リーダーに相談を持ち掛けてくることが増えてきます。
しかしリーダーも、何とか成果を得たいと思いあれもこれもと余裕のない中で、そのような状況に取り合わず、背を向けてしまうことが多くなった、タイミングによって話を聞かざるを得ない場合でも、そんなことどうでもいいから、指示したことをやってくれというのが精いっぱい。時には声が大きくなることもある。
こうして、メンバーとリーダーのコミュニケーションは希薄になり、放っておくとリーダーに伝わるのはほとんど当たり障りのない情報か愚痴のようなものになり、悪い情報や改善への意見は、まったく伝わってこなくなってしまいました。
誰もが目標に向けて頑張っていたはずなのに、もう目標よりもメンバー間の攻撃を避けて過ごすことの方が重要な方向に、重心が傾いてしまっているかもしれません。
成果が上がってくれば、まだ何とかなるでしょうが、これはリーダーにとって、とても苦しい場面です。
気負って指示を出していると、その勢いが自分の中で大きくなってやり方が固定化し、メンバーから意見を聞き、やり方を修正するという場面を見逃し、失敗してしまうことがあります。これはもともと悪いことでもないし、誰にでも起こりうることだと思います。
どうすれば、このような状況を回避できそうでしょうか。
目標はブラさず、やり方を変える
新たなプランの遂行などノウハウが蓄積されていないような状況では、指示を優先し、それを実行することを優先して成果を得ながら、少しずつチームを成熟させていくというのは、必要なプロセスです。
その中で、何か問題が発生し、それが改善できない状況が続いた時、これが起こった場面で、一度メンバーとともにどこに問題がありそうかを検討できると展開が変わることがあります。
気負いはむしろ前向きなことだと思いますが、自分がなんとかしなければという思いが過ぎると、このような機会を見過ごしてしまいがちになります。しかし、チームを作っていく初期に発生する解決が難しいようなトラブルは、チームの力を借りて前へ進む、良い機会にもなります。
一方で、もうチームがばらばらのような状況になってしまっていても遅くはありません。どんな状況からでもメンバーとコミュニケーションをとり、何とかしようという姿勢が示せれば、問題を解決し目標に向かう再スタートを切ることができるはずです。
弱みを見せたらリーダーシップが壊れるか?そんなことはありません。自身の気負いがコミュニケーションを阻害していると感じたら、その時がいつでもスタイルを見直してみる時かもしれません。