事業の源泉
「事業の源泉」
みなさんの事業は、事業主ご自身が興味をもてる事業ですか?
零細企業では、事業主以外の社員を雇い入れてはいても、その数は多くないのが一般的です。
[平成21年経済センサス基礎調査(総務省)]では、中小企業数は、全企業421.3万社の99.7%(420.1万社)、さらに小規模企業数は87.0%(366.5万社)となっています。小規模企業全体で約912万人の従業者数とされていることから、小規模企業の1社当たりの従業員数は、単純計算で2.5人程度というところ。
これに対して、大企業の1社あたりの従業員数は、約1,219名となっています。
このように、小規模の企業では、事業主自身がその企業の核となる製品やサービスの提供者そのものという傾向が強いことがうかがえ、事業主の技術やモティベーションがそのまま、事業の成否に直結するということでしょう。
専門特化した従業員を多く雇って事業を行うわけではない規模の事業者にとっては、事業主自身が製品やサービスを探求し、いつまでも変わらずより良いものを、また創意工夫で新商品をと、考え、創り続けなければなりません。そう考えると、やはり、好きな分野、興味の持てる方法などで事業を行うことが、有利になる場面が多々あります。
今は、以前にもまして、興味がないからそれほど研究も工夫もせずに事業を続けられるような状況でもないようです。かといって、興味もないのに考え続けなければならないのは、事業主といえども、結構つらいと思います。興味のある事だとしても、続けるには、いやになる事もあれば、手を抜きたくなることもあるものでしょうから。
小規模企業は、事業主自身が常に事業で提供することそのものに興味を持ち続ける工夫が要ります。多くは雇い入れない従業員も、お客さんに提供する商品やサービスそのものを追及する環境があり、反応がみえた方が、事業に良い影響を受けやすくなります。
今の社会は、コンプライアンスだとか、個人情報保護だとか、契約だとか、管理面が前面にでることも多いですが、こういうことから仕事に興味を持つという事はとても難しいように思います。
「お客さんにせっかく良い製品、良いサービスを提供するのだから、個人情報を漏らして迷惑かけるなんてことは絶対いけないよね!」
こんな流れで考えるのが事業主の方針にも合いやすく、特に小規模の企業には良い影響を与えやすいようです。
反対に、「商品(サービス)さえよければいいんだ」ということだけでは、事業のリスクを高めてしまって、「せっかく良い商品やサービスを提供し、真面目にやっていたのになぜ?」という、非常にもったいない結果をもたらす可能性もあるものだからなかなか難しいものです。
企業の魅力そのものを決定する代表者。至極当然のようだが、近年は意見を闘わせることなく、ボトムアップでの意見に沿って物事が進められたり、必要以上に意思決定者が気を遣ったりということも多いような気がします。
そういう場面に出会うと、それは結局従業員にとってもよくない結果をもたらしてしまうのではないかと心配になります。もちろん、ボトムアップや気遣いも組織には必要だが、あまりにもそれが重視されすぎて、代表者の方針やリーダーシップがブレてしまうとなると、会社の躍動を阻害してしまう、この危険性は結構大きいものではないでしょうか。