シンプルで具体的な管理指標を

経営や組織活動をモニターするための管理指標には、組織に浸透しやすく、かつ経営上重要な指標を採用したい。


経営管理の重大な課題は、組織を構成するスタッフ一人ひとりの生産性を上げることです。そのためには、一部にしかわからない情報を扱っていても大きな成果は期待できません。

また、
「本当にこの商品は売れるのか?」
「営業をがんばれば売れると思います。」
「もっとコスト削減はできないのか?」
「今の人数でも忙しいのに、これ以上無理です。」
「顧客の求めるものが提供できているか?」
「お客さんからは喜んでもらっています」・・・

このようなやりとりの段階では、いくらコミュニケーションをとったところで核心には迫れません。

 

様々な経営指標

お客様が喜んでくれた。○○がいくつ売れた。この事は確かに良い話のように思えます。しかし、文句を言ってくれるお客様の方が圧倒的に少ない中で、「お客様が喜んでくれた」を信頼して管理者まで「それはよかった」と本当に言えるのでしょうか?いくつか売れた○○は、本当に必要なキャッシュフローを満たすことにつながっているものなのでしょうか?

一方、スタッフの方も何をしたらいいのかさっぱりわからないでしょう。何となく良いと思うことをやって、何となく仕事をしている。いや、もちろんスタッフは一生懸命です。しかし、その一生懸命さは本当に求められている貢献に繋がっているのでしょうか?
しかし、中小企業の経営を考えると、なかなかすべての経営情報を網羅し、分析するというイメージは描きにくいでしょう。むしろ、管理指標を用いて情報を導きだしたというのは過程であって、それで、その情報を使って具体的にどうするということが大切であるなかにあっては、多くの経営資源をモニターに注ぐわけにもいきません。

 

 

方向性を指し示すイメージここでは、財務諸表による経営分析指標の活用ということは、あまり意図していません。実際によほど複雑で大きな事業体でない限り、いわゆる財務諸表による経営分析は同業他社との比較できる程度でよく、また資金繰表による資金管理がなされていれば、管理可能な場合が少なくなくないと思います。
むしろ、資金繰りを健全に行うために必要な営業や製造、サービス提供活動等の管理をどのような指標で行っていくのかということの方が、組織全体の総力を経営に活かすためには重要ではないかという認識がこの記事のベースです。これは最終的には売るもの(サービスも含めて)の良さをはじめとする事業そのものの価値と、それを動かすための資金管理が多くの中小企業経営の一大事で、このことにコミュニケーションと経営管理の視点から如何にアプローチかするという、このウェブサイトのテーマと密接に関連するものです。
現在は、製造物への責任や品質、周辺サービスへの高い要求やコンプライアンスなどから、核となる業務だけでも十分多くのことをこなさなければなりません。従って、多くの中小企業の経営者や管理者は、この部分を如何にマネージするかということのみでも、十分に多くの負荷がかかっていると考えられるのです。


今の組織で管理しなければならない最も重要な項目は何なのか?そのためには、どのような情報を抽出し、流せばよいのか?これをシンプルに考えることが経営管理と企業規模のベストなバランスを考えるスタートだと思います。 全スタッフの協力を得るために組織に浸透しやすく、かつ自社の経営に最も重要な管理指標は何か?です。
経営分析には多くの種類があり、それらはもちろんそれぞれに重要な情報を提供してくれます。しかし、組織の中に重要な考え方を浸透させ、それに向かうためには、出来るだけシンプルなテーマと管理手法の方がよいのです。