行動計画とモニター、対策
如何に優れた管理会計の仕組みを導入しても、極めて妥当な管理指標を設定しても、確実にモニターし、次の行動に結びつけなければ全くの無駄になってしまいます。
利益責任単位は、幾らの利益をもたらす必要があるのか?コスト責任単位は幾らの費用に抑える必要があるのか。
これをはじき、合意を形成すれば、では実際にどのようにしてそれを実現しましょうかということになります。(実際には合意形成のために1年間ねらいだけ定めて経営せざるを得ないこともあり得るでしょうが)
単価を上げるのか、販売数量を上げるのか、廃棄率を低減させるのかそれとも不採算ラインを閉鎖するのか・・・
考えることは多く存在しますが、それでも目標資金量が決まっていれば、今のままで実現可能かという判断はつきやすくなっているはずです。
責任単位に割り当てられれば、1人がいくらの利益を獲得する必要があるのかを計算することもできるでしょう。(これは何となくでも、スタッフが何をしなければならないかがはっきりしてくる段階でもあり、また場合によっては具体的にリアクタンスが発生する可能性が高まる段階でもありますが。)
現場に対しても、「これだけの利益が要る、どうすればいい?」という話になりますが、根拠のある数字には大きな力があります。
そこで、具体的にそれを実現する行動計画を立てていきます。同時に、その進捗状況をモニターするためのルールを設定していくことになります。
行動計画の進捗管理は責任単位に任せればよいでしょうが、経営者は各責任単位の行動計画が目標達成につながっているのかを把握しなければなりません。しかも、差異をすぐに修正できるタイミングでこれらを把握する必要があります。そこで、出来るだけシンプルな管理指標を導入するという必要性が出てくるのです。目標利益達成のカギとなるいくつかの指標。この設定とモニターが現実的な経営における指標管理であり、管理会計の重要な要素だと思われます。
シンプルで具体的な管理指標が導入されていれば、差異が発生した部門においても「これではいかん」ということがすぐに把握でき、またどの方向へ対策するかが分かりやすくなっています。管理指標の導入は、スタッフの貢献方法を示し、実効性のある対策をすぐに打てるようにするためですから、差異が発生したら経営者はその部門への対策にコミットしなければなりません。
そのためにも、先ずは具体的な行動計画が得られ、経営に直結する情報をモニターできる状態になっているのかを確認してみましょう。