組織図は組織のコミュニケーションフレームの基礎となるものですが、会社は人事制度・会計制度をはじめ、様々な制度を抱え、これらを組み合わせて全体が統制されています。

様々な責任や成果が求められる中で、企業はそれらに対応するために、新たに制度を作り、また見直し、運用して経営していきますが、何らかの制度を設計する際には、全体の組織構造を確認して、新たに設計しようとする制度と既存制度や組織体系との整合をとることが大切です。

この作業を行うことで、組織の重複やブランクをなくし、効果的な組織をつくっていきます。

組織と制度との整合イメージ

コミュニケーションの基礎となるフレームは組織図ですが、実際にスタッフとリーダー、スタッフ同士がコミュニケーションをとるのは、ほとんどの場合、販売や接客、事務などの実務上の場面です。

これは、そもそも日常業務を遂行する過程では、自分の仕事のみの視点に陥る傾向になりやすいことを示唆しており、意識して会社との関係を伝える取り組みを行わないと、なかなか視野は広がりにくいものです。

組織図は、効果的に企業目的を達成する会社全体の体系を表していますが、スタッフの日常の業務と組織体系をつなぐためには、それらがどのようなつながりをもっているかが具体的、体系的に示される必要があります。この認識がリーダーのコミュニケーションを支援する情報や、メンバーが担う役割の遂行に必要な力量など認識するための基本情報になっていきます。

業務の一つひとつの取り決めは、部門内の連携の基礎となり、それらの業務の円滑な実施は部門が役割を果たすために大切なことです。
そして、その業務をどのレベルで行い、そのためにどのような能力が必要かを示したものが人事や教育で使われたり、また、業務を分解して手続きやプロセスを示したものが手順書として用意されたりします。このように各制度がそれぞれつながりをもって全体を構成しているということは、コミュニケーションを円滑にし、スタッフに様々な手続きの意義を理解してもらうためにとても重要な要素になります。自身の担当業務を取り巻く業務や、より上位の業務に求められる要件などが明らかになっていれば、個々のスタッフが自身のキャリアパスを描く上でも役に立つでしょう。

部門数が少ない中小企業においても、経営方針等がより確実に伝達され、スタッフの行動がその方針を踏まえたものになるようにするために、組織と制度との関係や業務のプロセスを明確にし、また時々見直しをしたいものです。