組織の役割がきめ細やかに設定されているという状態は、リーダーやスタッフが自身の役割を認識することを確実に助けます。

組織図は、企業がその目的をもっとも効果的に達成するために、必要な機能とその集合形態を検討し、構築されていきます。
多くの組織図は、ツリー状に責任権限体系や部門の位置づけなどを示していますが、経営目的達成のために最適化された組織がそのパフォーマンスを効果的に発揮するためには、責任権限関係と各部門の役割・専門性という縦と横の連携が基礎となります。

貢献しようとするすべての従業員が自分自身の役割を認識し、またリーダーがどのようにリーダーシップを発揮すべきかを理解するためには、自分自身が周囲との関係の中で組織に貢献できるイメージをもてることがとても重要です。


責任権限関係と基礎的コミュニケーションルート

組織図と役割

多くの企業には、左のような組織図が設定され、この組織図が組織全体の責任権限体系や役割分担の基礎、コミュニケーションルートを示しています。
この組織図の構造が、現在の組織の目的達成のために、実施事業の特徴や組織の規模などに照らして適切かどうかということはしばしば企業の課題に挙げられ、組織や業務系のコンサルティング会社においても様々なサービスが展開されています。

組織と戦略は相互に影響を受ける関係にあるため、組織構造は、経営戦略と合わせてトップマネジメントや部門管理者等によって定期的に見直しが行われると考えれらますが、これは組織の目的を効果的に達成するための適切な役割分担とコミュニケーションルートの基礎を示していることが重要です。
左図は組織体系に加え、垂直方向の役割分担や職務内容などを併記し、それらの整合を確認するとともに、組織に属する一人ひとりが組織全体の中での自身の位置づけや役割を認識しやすくなることを意識して作成しています。

スタッフが自分自身の業務の役割を認識し、それが組織の目的とつながっていると感じられることは、個々のパフォーマンスに影響する基本的な要素としてとても重要です。
組織図を作る、スタッフの評価制度を作る、などの場合には、組織図からスタッフの評価制度までが一貫し、整合していることが原則となります。
職能要件や評価制度に手を付ける際には、その大元となる組織図との整合を改めて確認されるのがよいでしょう。

また、この図は主に責任権限体系(ライン)の役割分担を記述していますが、もう一方で、業務のまとまりを作った部門の役割や専門性の軸を重ね合わせることが必要です。


部門の役割と専門性部門と専門性

企業では、経営方針等がスピーディに浸透し、また製品やサービスなどへの意見等が集約され、組織全体で見直されるために、ラインのコミュニケーションルートを明確にすることが必要です。
しかしながら、より効率的な目的達成のために専門化した部門を編成し、専門化された役割を示したり浸透させるためには、水平方向の役割分担がもう一方で重要になります。
実際に作ったり、売ったり、サービスを提供したりということを担当する部門では、仕事そのものを通じて部門や自分自身の役割を認識していくことも多いのですが、

・会社の中での部門の役割と位置づけ
・部門の専門性
・部門を分ける理由
・隣接部門と何が違い、どう連携するのか
を詳しく掘り下げることは、組織と個々のスタッフのつながりを認識するのに役立ちます。

責任・権限、指揮系統の階層構造と合わせて、それぞれの部門の会社における位置づけを明確にすることは、所属するスタッフが、「自分自身が組織全体の中で合理的な理由に基づいて与えられた役割を担うことで、その組織に貢献できる」ということを認識できる基礎になります。
これらは、部門同士をつないだり、リーダーや指導者がメンバーとの円滑なコミュニケーションを形成する上での基本的な視点となり、そのリーダーシップや指導を助ける情報となります。