教える側が工夫する。どの中小企業も、いかにして人材育成に取り組むかを真剣に考えています。
ベテランと新人スタッフの間のギャップをできるだけ減らすために、業務をできるだけ分解して、スタッフに合わせてステップの大きさを変えられるようなっているか、育成の基礎となるプロセスを見直してみましょう。
現在は、「褒めて育てる」を方針とすることも多いようですが、なんでも褒めるではなく、根拠をもって褒めるには、「何が良かったのか」が明らかでないと難しいでしょう。業務を分解してステップを細かく設定することは、適切に褒めるのにも役立ちます。
人材育成を指導するベテランスタッフに任せるだけでは、どうしても一つのステップが大きくなる傾向があります。
ベテランスタッフが悪いのではありません。自分自身ができることというのは、意識しなければ、そのできることの中に含まれるいくつかのステップやポイントを認識する機会が減ってしまうのです。
ベテランスタッフの中には、職人のように見て学べ、技を盗めのような教育を受けてこられた方もまだまだ多いことでしょうし、自分自身で工夫を重ねてベテランになった方も含めて、一から細やかに教えていくことに抵抗を感じる場合もあるようです。
新人スタッフは、一つひとつのステップが大きいと、ゴールに到達するイメージを持ちにくくなります。
また、大まかに教えられた方が楽な場合も往々にしてあります。深堀りせずに業務をやれるような気がしてしまいますから。
しかし、これでは正確なアウトプットを求めるための手続きがなされているのかを管理することができず、結果、新人スタッフに対して一層細やかな指導をすることができなくなっていきます。
相手に対象業務の経験があるかないかに関係なく、業務を一つひとつの手続きに分解して細やかに指導できる体制の見直しは、人材育成の基礎になります。
・各手続きがどのようにつながって、どのようなアウトプットを形成するか
・他の担当者の業務とどう関係し、さらに会社の目的にどうつながるか
などを明確に説明することによって、基本をおろそかにせず、業務の目的を意識した育成環境の醸成につながっていきます。
対象業務の経験が新人スタッフにあるか無いかには関係なく、自社の業務の手順は正確に伝えることを当たり前にしましょう。余談ですが、正確な伝達を当たり前にするということを会社がやっておかなければ、正確に指導しようとする担当者がやりにくくなり、放っておけば必ず伝えなければ重要な手順さえ、伝わらなくなります。
それぞれの手順が省略されずに伝達されるようになっているか。なぜその手順である必要があり、どのような目的がその業務にあるのか、他の担当業務とどのようにつながり、最終的に会社の目的の達成にどのようにつながるのか。
これらは、必要事項が伝達されたかを管理するにとどまらず、スタッフが自分の仕事と会社の目的のつながりを認識するための重要な手続きです。
さらに、管理や指導を行う側にとっても、育成の視点を確認でき、相手のどこが出来ていて、どこが出来ていないのかが具体的に指導できる、コミュニケーションのきっかけを業務の中で掴めるなど、管理者側、教える側の支援にもつながるでしょう。
自社の育成に課題を認識されている場合には、先ずこの”理屈を伝える”という部分が適切に行われるようになっているかを見直してみませんか?