人材育成環境の変遷と育成プロセス(イメージ)
いつの時代でも、仕事そのものに興味を持ち、自分自身で様々な困難への対処を考え、セルフコントロールを行い、努力を重ねてきた方がたくさん居てことは紛れもない事実でしょう。会社は様々な価値観を持った人の集団なので、その中には、仕事で得られるものへの価値の比重が高い人もいれば低い人もいます。会社はそのような多様な人の集団について、仕事という部分において会社にどのように関与してくれるかということにおいて経営資源たる人材を捉え、施策を展開します。その人全体ではなく、仕事という部分を切り取るからこそ、その人を評価するということの妥当性を獲得しているのかもしれません。
よって、会社の人的資源全体の力量は、会社を構成する一人ひとりが持つ可能性のどの程度を仕事に使うかという割合により、影響を受けることになるでしょう。そしてこの1人ひとりが持つ可能性のどの程度を仕事に使うかということは、その時代の社会情勢や環境から影響を受けることになります。たとえば労働者の流動性の変化は、より大きな社会情勢の変化がこれをもたらし、さらにもたらされた労働市場の流動化に社会全体が影響を受けて環境が変わっていくことになります。
あまり大胆にイメージを書いてしまうと叱られそうですが、下図は人材育成に影響を与える環境の違いに関するイメージです。
上の図のような変化は、次の右図のプロセスから左図のプロセスを志向する方向へと、育成プロセスに影響を与えている可能性があります。
どうしても人材が流動的になると、一定の仕事ができる段階へ引き上げるためにかけられる時間を増やすことは難しくなります。流動化によって、一定の段階への育成は一層必要になっているにも関わらず。 このため、企業はマニュアルやシステムを併用し、これらを補おうとしていると考えられますが、この育成過程でシステム等に頼る余り絶対的なコミュニケーション量が減少すると、育成環境としてはマイナス要因になると考えられます。 コーチングは、バブル崩壊後に企業が研修として取り入れることが拡大したそうですが、これも環境の変化に対応しようとする企業のニーズの変化によってもたらされたということでしょう。